管理番号 | 新品 :20263175039 | メーカー | 谷崎潤一郎 | 発売日 | 2024-12-08 | 定価 | 1,716円 | ||
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カテゴリー | 本・雑誌・漫画>>>本>>>文学・小説 | ||||||||
商品の状態 | やや傷や汚れあり |
大正11年発表の短編。主人公の35歳の岡田、実は若い女の子「あぐり」に洋服やらアクセサリーを買ってあげるのが趣味。 「岡田はあぐりを連れて横浜に向かった。宝石商や洋服屋を回ってあぐりが欲しがるものを買ってやるのだ。歩きながら岡田は自分が死んでしまう夢を見る。夢の中のあぐりは岡田を見て「あら、死んじゃったの」とぽかんとした。岡田はもう歩けないとだだをこねる夢を見る。死んだ母親の夢を見て支那の夢を見た。二人は婦人服屋で服を仕立てた。試着するあぐりの周りを岡田は回った。あぐりは生き生きと笑った。岡田は目眩を感じた。 美しいあぐりに似合う衣装を着けさせて越に浸るという岡田の嗜好をいいことに、当のあぐりは無邪気にも「もしね、買い物の都合でお金が剰ったら腕時計を買ってくれない?―」なんてねだったりしている。 岡田も「この美しい少女に野暮ったい着物を着せておくのは可哀想」という強迫観念に囚われてしまっているので、わざわざ横浜港まで出向いて、舶来物の下着からドレス、アクセサリーに靴などを頭のてっぺんからつま先まで一揃え(金に糸目をつけず)買い与えるわけです。 その美しい衣装をフィッティングルームで、『彼はチクチクと手に引っかかる軽い絹を、彼女に手伝って貼り付けてやりながら、ボタンをはめ、ホックを押し、リボンを結び、彫刻の周囲をぐるぐると回る。あぐりの頬にはそのとき急に嬉しそうな、生き生きとした笑いが上がる。岡田はまたぐらぐらと目まいを感ずる。』あぐりが試着するのを手伝いなががら興奮する岡田の場面は、潤一郎ワールドの真骨頂です。(青い花) 新生社・昭和22年6月初版発行の谷崎潤一郎短篇小説集『青い花』外装なしです。装幀は東郷青児です。発行当時の紙質と経年によるヤケがありますが、シミや書き込みや蔵書印などもありません。 77年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。